現代のペン回し




現代のペン回しが文化的にどうなっているのかをまとめてあります。

技について

○ペン回しの技は現在500種類以上存在します。軸となる指の違いなど、細かく分ければ1000を越えると言われています。

 

○ほとんどの技に技名がついており、技名の命名には規則があります
基本的には基礎となる技に接頭語・接尾語をつけることによって動きを表現します。
・軸となる指は番号で表す — 親指=1 人差し指=2 中指=3 薬指=4 小指=5
・接頭語 — 対称軌道=シメトリカル 鏡対称軌道=ミラード 同技連続=コンティニュアス 軸変更同技連続=フルーエント
・接尾語 — 逆回転軌道=リバース

例:中指で行う逆回転・対称軌道のソニック → 3-シメトリカルソニックリバース

ペン回しはネットと共に発達してきた背景があり、1997年に「ペン回しの父」と呼ばれる近藤英章氏が自身のwebサイト「私のペン回しの歴史」を通じて発表しました。
同氏は、「いたずらに技名を増やさないように」という目的で有機化学の命名法を元にこの命名法を発案したと述べていました。

 

○この命名法によって全ての技に名前が付けられるわけではなく、分類できない技もあります。
そういった技は考案者が独自に名前を付けるか、考案者(拡散者)の名前が技名に付けられることもあります。

例:クーロンコンボ、レックストリック

 

○ネットと共に発達してきた文化であり、2005~6年あたりには技を動画で紹介し、解説するサイトが数多くありました。
YouTubeが発達し、YouTuberなどが現れ始めたあたりからYouTube上で技を解説する人も増えてきました。

ネット上にこれだけ無料で閲覧できるコンテンツが充実していましたが、解説の書籍やDVDも発売されていたことがあります。
書籍:「ペンスピニング-ペン回しをはじめよう-」「ペンスピ魂」「脳を鍛える!ゆびペンまわし」
DVD:「ペン回し王」

 

競技について

○ペン回しは現在、10~15秒程度の流れを動画として撮り、その構成や技の難易度、独創性などの観点から評価されています。
撮影した1作品単位のことをフリースタイル(FS)と呼びます。

 

○複数人のFSを集め、音にあわせた編集を施した動画作品をコラボレーションビデオ(CV)と呼びます。
CVは

主催者がCV作成の発表・出演者の募集 → 参加希望者が自分のFSを提出 → 主催者がそれぞれのFSを審査 → 公開・審査に合格したFSのみ採用される

という手順で行われることが多く、CVに出演したかどうか、どんなCVに出演したかが一定の評価基準となっています。
CVは必ずしもこの形式が取られるわけではなく、主催者が出て欲しい人にだけ声をかける招待性のものや、応募者が実力問わず全員出られる全員参加型のようなものもあります。

 

日本大会、世界大会があります。
・日本大会
2008年に初めての全国大会が行われました。この時はオンラインで動画としてFSを提出して予選を行い、上位16名が特設会場に招かれてその場でFSを披露し、トーナメント形式で競い合うという方式が取られました。

この形式で全国大会が開かれたのは2008年のこの一度のみであり、翌2009年から現在までジャグリング道具専門店の「株式会社 ナランハ」が年に1度、「ナランハペン回しフェスティバル(NPF)」を主催、その中でのフリースタイルコンテスト(生演技)が事実上の全国大会という位置づけになっています。
2017年から、フリースタイルコンテストが技術力・難易度を重視したテクニカル部門と発想力・独自性を重視したアーティスティック部門の2部門に分かれました。

また、オンラインで動画形式での日本大会も不定期で行われています。

 

・世界大会
2007年にイギリスのペンスピナー Clash氏がオンライン・動画形式での世界大会を主催しました。
2007年は個人戦(ブロック予選から決勝トーナメント)が行われ、2008年は団体戦(*1)が行われ、それ以降奇数年には個人戦、偶数年には団体戦が開かれています。
しかし、毎年個人主催で主催者もその都度変わっていたため、ルールも毎年微妙に変わっていました。さらに、2016年は主催者が現れず、開催が出来ませんでした。

*1:団体戦のルール
まずCV形式で予選が行われる。各国それぞれが独自のCVを作り、そこに含まれるFSの実力などを見て順位が決定し、上位国が決勝ステージにコマを進めます。

決勝ステージでは各国6名ずつのペンスピナーが代表として選出され、1ラウンドごと3つのマッチがあり、4名のスピナーが出場します。
バトル1 1名 テクニカルテーマ:難易度を重視した評価
バトル2 1名 アーティスティックテーマ:独創性や発想力を重視した評価
バトル3 2名 ダブルス:2人で1つの動画作品を作り、その内容で評価

となっており、勝利数の多かった国が勝ちあがります。
また、このテーマは毎回定まっているわけではなく、開催年ごとに様々なテーマが設定されることがあります。

 

○ペン回しはネットと共に育ってきた背景があり、本名で活動する人は少ないです。大抵ペン回しの活動のための名前を持ち、大会やCVでも基本的にこの名前で呼称されます。

 

○大会の他、ダンスバトルのような形式で行われるイベントや、ラップバトルのような形式で行われるイベントも生まれました。
2018年には中国・広東省で初めてオフラインの国際大会も開催されました。

 

使用されるペンについて

○現在、多くのペンスピナーは独自に回しやすく改造した「改造ペン」を使用しています。
いくつかの市販のペンのパーツを組み合わせ、長さや重さ・デザインなどを自分好みにカスタマイズして使用しています。

改造法はある程度確立されたものがあり、ネット上で多く公開されています。
有名なペンスピナーの改造法を真似したり、新たな改造法を編み出したりと、一つの文化となっています。

もちろん改造せずに、未改造にこだわりを持って回しているスピナーもいます。

未改造で回しやすいペンとして代表的なのはPILOTのDr.GripやニトムズのSTALOGY 低粘度油性ボールペンなどが上げられます。

 

○改造ペンだけでなく、専用に開発されたペンもあります。
国内では2008年にタカラトミーから「PEN’Z GEAR(ペンズギア)」、メガハウスから「PENMAWASHI」が発売されました(現在はいずれも廃盤)。

2018年には、大阪の金属加工業者 湯本電機株式会社がペン回しのためのペンとして「Gyro」を発表しました。ただしこれはペンスピナーというよりは、昔ペン回しをやっていたなー程度の中年層をターゲットとした商品でした。

海外ではペンズギア等と同時期に「Spinz」や「Spinsticks」という専用ペンが発売されました。
現在では中国のZhigaoというおもちゃメーカーが30パターンを越える専用ペンを展開しています。また、中国では個人ブランドも複数存在し、文化として進んでいることが伺えます。


中国の専用ペン SpinPro シリーズの一つ。これは筆記機能は内蔵していません。

 

○これら専用ペンや、有名な改造に必要な海外のペンを取り揃えているショップは現在「ジャグリングショップ ナランハ」「プラスピン」が有名です。

ナランハは株式会社ナランハが運営し、板橋には直接手にとって見れるショップがあります。
プラスピンはペンスピナーによる個人運営で、基本的にはネットショップのみとなります。

海外では韓国の「PenDolSa (ペンドルサ)」が2005年あたりでは最も力を入れており、国内のスピナーでもここから海外のペンを購入している人もいました。2009年頃からナランハがペンドルサ商品の取り扱いを開始し、海外にしか販売されていないペンが国内でも入手しやすくなりました。

海外ではその後、「Penwish」が比較的大きなペン回し用ペン取り扱いショップとなっています。

 

文化について

○日本では2008年から2009年にかけて、コミックブンブンで連載されていたペン回しを題材とした漫画「ペン回し伝説 スピナーキング翼(いそう なおき)」がありました。

中国ではペン回しを題材としたアニメが放映されています。

 

組織について

○2007年頃に「日本ペン回し協会」が発足し、発の全国大会や専用ペン・書籍・DVDの監修など、精力的に活動をしていました。
ところが2012年にこの協会は解散。

2017年に新たに「日本ペン回し連盟」が発足。月に一度のペン回し教室など、現在も精力的に活動中。

海外では2017年に「World Pen Spinning Alliance (WPSA)(世界ペン回し連合)」が中国のペンスピナーを中心に発足しました。
同団体は各国でのオンライン大会を行ったうえで代表1名を招致し、2018年に初となるオフラインでの国際大会を開催しました。

この大会は2016年から行われているZhigao tripというイベントが元となっており、中国の玩具メーカーZhigaoが公式スポンサーとして付いていました。